日本第2号となるトラディショナル型サーチファンドを設立した志村光哉氏。そんな志村氏が考えるサーチファンドの魅力と事業承継のこれからに迫ります

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ファンドレイズをした今は何をされているのでしょうか

今は会社を譲渡してくださるオーナー経営者さんとひたすらあっている毎日です。
大事なのは自分が素晴らしい事業を譲り受けたいと思っていることを伝えることです。より多くの人が活動を知ってくれれば知ってくれるほど、紹介など、よいご縁につながっていくと思っています。なので、マーケティングを意識しています。
8月には地元の新聞と全国紙に取り上げて頂きました。まだまだこれからですが、認知度が上がってきていると感じています。
あとは、実際に企業のオーナー経営者さんと探しているところ。これは直接的なアプローチです。自分が譲り受けたいとこころから思う企業オーナーあてに、手紙や電話、メールなど、返ってくるかはわからないけれど送っています。
それも、新入社員がするようにただ数を追って営業しているのではなく、1社1社想いを込め、なぜこの会社なのか、自分はどうしていきたいのかを書くようにしています。これらは東レ時代に培った経験が活きています。

どういったオーナー経営者さんとお会いしているのでしょうか

本当に多くの方とお会いさせていただいていますが、いざ譲り受けることを考える際には私の中で、投資先を選ぶうえで、事業面で厳しい条件を設けています。
また選んでもらう立場として、いい意味でクレイジーな方しか合わないと思っています。会社を売却する、事業承継をする手段が多い中で、サーチファンドを選ぶ、志村を選んでくれる、話してみたいと思ってくださる方は、今の日本では既存の枠に当てはまらないいい意味で攻めている経営者だと思うんです。柔軟で前向きな発想ができ、リスクをとることができる。そういったチャレンジャーな経営者だとおもっています。
数字だけでみたら、大手企業に売却をしたり、実績あるファンドに思いを託した方がいいかもしれないです。その中であえてサーチファンドと私を選んでくださる企業の想いにこたえたいと思っています。

志村さんが考える、事業承継先としてのサーチファンドの魅力はなんでしょうか

オーナーがサーチファンドを選ぶ理由として、顔がみえるというのは大きいと思います。M&A仲介を通じて売却するとなったときは、基本的にやり取りは仲介になってしまいます。最終的にはオーナーと直接話す機会があると思いますが、過程では見えにくい部分があると思うんです。でもトラディショナル型サーチファンドであれば、私が直接すべてのやり取りをするため、実際に事業承継を託す後継者の顔が見えやすいというのはメリットのひとつだと思います。
あとはやっぱり、そこに付随するんですが、僕が今後の人生を通じてどうしていきたいかという覚悟を見てもらえると思います。大手企業の一企業としての扱いでも、ファンドのポートフォリオの一つでもなく、その会社の株主であり経営者としてそのオーナーの想いをそのまま継いでいく。自分の人生のすべてをかけて、オーナー経営者の人生でもある企業を事業承継で託される。その会社の社員もすべてを背負って会社を大きくしていく。それがトラディショナル型サーチファンドの魅力であり、他にはない唯一のポイントだと思っています。